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【問題解説】センター試験平成29年度本試験 IA 第1問(続2)

前回の続き。間があいてすみません。

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命題の真偽を判定していきます。 $p$、$q$、$r$をここに改めて列挙しときます。

$p$:$x=1$
$q$:$x^{2}=1$
$r$:$x>0$

さて、順番にAから考えていきましょう。とてもとても簡単な問題ですが、丁寧に考えてみることにします。

まず$p$かつ$q$です。それぞれ$p$も$q$も条件ですが、実質それによってとりうる$x$の値を考えるので、集合で捉えたほうが良さそうです。

ここで条件集合は、抽象具体の関係です。抽象具体の関係は数学の域を超えて、とても大切な概念です。細かい話は現代文の授業や哲学書に任せますが、数学的な見地では問題を解くためのアプローチのヒントになります。一方がわかりにくいときには、もう一つの概念でアプローチを図れるか考えるのはいい作戦です。本問の場合、抽象的な条件のまま問題を考えず、条件を満たす具体的な値の集合で考えてみます。

ここで条件$p$を満たす集合を$P$、条件$q$を満たす集合を$Q$として考えます。
$P=\left\{1 \right\} $
$Q=\left\{1, -1 \right\} $
と書くことができます。これをかつで結ぶということは、共通する値を選ぶということなので
$P \cap Q = \left\{1 \right\} $
となります。

これが条件$r$:$x>0$をみたすかどうかですが、集合として考えてみるのは既述の通り一方がわかりにくいときなので、わざわざ考えずとも$p \wedge q \Rightarrow r$が成り立っていることがわかります。ゆえにです。 ちなみにここをわざわざ集合で考えると、 $P \cap Q$は$R=\left\{x|x>0 \right\} $の部分集合なので、 $P \cap Q \subset R$となります。

丁寧に解いたせいで逆にわかりにくよという声が聞こえてきそうですが、抽象具体の関係の活用を話すために致し方なしと許してください。よく哲学と数学は近いと耳にしますが、どこが近いんだよ、と学生時代よく思っていたので、そこのつながりの一つを紹介したかったまでです。そして、哲学の概念は数学においても武器であると、ゴキブリに波動拳を使うような例になりますが、本問を通してお伝えしてみました。

具体と抽象以外にも、演繹と帰納とか分析と総合など哲学界隈で耳にする用語は、論理という橋でつながっているがゆえに数学においてもそのまま武器になったりします

ということで。次の問Bもちゃちゃっと解いてしまいましょう。
$q \Rightarrow r$
は$x=-1$のときが成り立たないので、です。

最後にC。このまま考えてもいいのですが、$\overline{q}$と$\overline{p}$は両方とも否定表現です。否定表現って避ける方法があるのであれば極力避けるべきです。肯定表現あっての否定表現です。この二段構えの姿勢が不便なことを色々巻き起こすので、避ける道があるのであればそのまま対峙することはあまりオススメしません。
「皿の上にりんごがありません」なんて言われて白い皿を見せられたとき、その皿の上に「りんご」があったことは想像で補うしかなく、眼前にあるのは何ものっていないただの皿なのです。・・・なんて例を言うまでもなく、この問題だって、否定のバーが上についていなかったら考えるのは簡単なはずです。

で、本問のような命題と論理において否定表現を肯定表現で取り扱えるようにする武器は、「ある命題とその対偶は真偽が一致する」ということです。

$a \Rightarrow b$
の真偽は、その対偶
$ \overline{b} \Rightarrow \overline{a}$
と常に一致する

これは表現を変えると

$ \overline{b} \Rightarrow \overline{a}$
の真偽は、その対偶
$a \Rightarrow b$
と常に一致する

ということです。こうみると、たしかに否定表現を肯定表現で表すツールとみることができます。

このことから
$\overline{q} \Rightarrow \overline{p}$

$p \Rightarrow q$ と書き換えられます。

ある数が1のとき、2乗しても1であることは成り立つので、Cはとなります。

今回はここまで。

で、最後に宣伝。よろしく。